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目に見えないものほど…

 2017年も残りあと一週間になりました。

今日はクリスマスということでクリスマスにまつわる話をしたいと思います。

「サンタクロースは本当にいるんでしょうか?」

今から100年ほど前、のアメリカの新聞「ニューヨーク・サン」へ8歳の女の子から「サンタはいるんでしょうか?」との投書がありました。

この可愛らしい問いかけに対し、論説委員のフランシス・チャーチ(Francis Church/1839-1906)氏は、1897921日付の社説の中で、優しく丁寧に一つの答えを示しました。

「人への思いやり、まごころ、愛が存在するのと同じように、サンタクロースは存在するのです」と。

目に見えなくとも存在するものはこの世にはいくらでもある、

そしてそういったものほど本当であり、いつまでも変わらないものだという普遍の真理を、

フランシス・チャーチは教えてくれました。

これから話す物語はいじめ撲滅全国行脚が終わって3年経った時の2009年クリスマスの話です。

僕は全国から帰った後も、ほしさんというマネージャー兼演出家の二人で東京を中心に活動をしていました。

私たちはともに自殺反対、いじめ撲滅、いつも心にマウンテンの思いだけを必死に訴えていました。

しかし、私たちの思いとは別になかなか活動が広まっていきません。

頑張っても頑張っても報われませんでした。

ある日、約12年歩んできたほしさんが言いました。

「これ以上やっていけるのかな。私は活動から手を引いて別の道を進もうと思う」

ほしさんは牧師の道へ。

僕は一人この先どうしたらいいのか迷っていました。

全国行脚までしたのはなんだったのだろうか、

あんなに熱い思いで訴えづつけていたのに、

こんなことで終わってしまっていいのだろうか、

  進むべきか、もうやめるべきか

でも、こう考えている時でも、ひょっとしたら僕以上に悩んでいる人がいるかもしれない、

ひょっとしたら苦しんでいる人がいるかもしれない、

僕は気づけば衣装を着て単車にまたがり、登り竿をお尻で破さみ、スピーカーを足元に乗せて、杉並区のアパートから井の頭通りを抜け、渋谷宮下公園へ走っていました。

渋谷の街はクリスマスで華やいでいました。

恋人たちの笑顔、イルミネーションがきらめていました。

約2ヶ月ぶりの宮下公園に立つと、懐かしいな、久々だなと、不思議と一瞬にして路上パフォーマーの感覚が蘇りました。

「元気マウンテンでいこう!もっとハッピーでいこう!」

威勢良くマウンテンソングを歌い、踊り始めました。

しかし、なかなか立ち止まる人はいませんでした。

前まで毎週末この場所で訴えていたことなんて、誰も知る余地もなく、人々は変な目で苦笑しながら通り過ぎて行きました。

急にひとりぼっちがとても心細く感じました。

歌いながら、この曲で今日は終わりにしようと思った時でした。

なんと40才くらいの女性がカンパしているではありませんか。

彼女は3年前に毎週末僕のパフォーマンスを見て通りすぎていた人でした。

「いつもここを通るとあなたのことを思い出すのよ。いつもひょっとしたらいるかもしれないと思って。でも今日本当にいた。びっくりしたわ!逢えてよかった。」

そう言って財布から5千円を取り出し、カンパ箱に入れました。

「きっとあなたの声を聞いて、元気になっている人がどこかにいるから、寒いけど、これからも頑張ってね。今日はクリスマスですね。メリークリスマス〜!」

そういって笑顔で去って行きました。

今日行くかどうか、迷っていた自分。

クリスマスということで恥ずかしがっていた自分。

一人になって臆病になっていた自分。

彼女に会って、吹っ切れました。

応援してくれていた人がいる、見てくれている人がいる、

僕は一人じゃないんだということを知った瞬間でした。

日も暮れ始めた渋谷の街。

恋人たちの笑顔、イルミネーションが急に輝き始めました。

僕はもう一度力強くマウンテンソングを歌い始めました。

僕にとって彼女はサンタクロースでした。

きっとサンタクロースはいるんだと思います。

喜んでくれるかなという心、笑顔になってほしいなという気持ち、そんな目に見えないけど確かにある温かいものをサンタクロースと呼ぶのかもしれません。

ハッピーメリークリスマウンテン!